マイクロ加工研究会 TOP
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マイクロラップ加工機 "Lap de Top"による硬脆材料の加工特性

茨城大 伊藤伸英,勝又真彦,理化学研究所 大森 整,埼玉大 河西敏雄,
埼玉大 土肥俊郎,堀尾健一郎,浪江日立化成工業(株) 上竹主税,矢野洋夫
1. 緒言
硬脆材料の鏡面創成を実現させるためには,一般的に遊離砥粒による研磨加工が多用されている。しかし,近年,作業環境の改善および作業時間の短縮を図るため,研削砥石を用いた固定砥粒法による鏡面仕上げの要求が高まってきている。この様な社会的要求に応える事を目的として,我々は電解インプロセスドレッシング (ELID) 法と砥石ラッピングを組み合わせたELIDラップ研削法を提案し,その実用化について検討を進めている。いままでの検討結果,粗粒砥石から超微細砥粒砥石まで安定した加工を実現し,特に#3000000 (平均粒径 約5nm) 砥石で加工面粗さ2nmRyという良好な加工面粗さを達成し,本加工手法の鏡面加工の効果を確認している。そこで専用加工機“ラップトップ (Lap de Top)”の開発を行い 1)、開発した加工機の基礎的な加工特性について調査した結果を報告する。

2. ELIDラップ研削原理
本加工手法は,ELID法と砥石ラッピング (定圧研削) を組み合わせたものである。図1に原理図を示す。円盤状の導電性砥石を電解電源装置の陽極に接続し,陰極に接続した電極を砥石面に対して僅かな隙間を設けて対抗させる。この隙間に研削液と電解電流を供給することにより,この間で電解現象を発生させる。この電解現象により砥石の導電性を有するボンド材のみ溶出させ砥粒を突き出し,安定した加工を達成するものである。

図1 ELIDラップ研削原理図

図1 ELIDラップ研削原理図

図2 加工装置外観

図2 加工装置外観

3. 実験システム
本実験で使用した実験システムを以下に示す。
1)加工機械 : マイクロELIDラップ加工機 (Lap de Top) を使用した。図2に加工装置の外観を示す (100V仕様)。
2)砥石 : #8000鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石を使用した。外形200mm,砥石幅40mmの円盤状であり,集中度100とした。
3)研削液 : 弱導電性研削液 (AFG-M) を水道水で50倍に希釈して用いた。
4)電解装置 : ELID専用電解電源装置 (ED1505) を使用した (100V仕様)。

4. 実験方法
加工機の基礎的加工特性を把握することを目的として i) 電解ドレッシング特性,ii) 加工条件と加工特性の関係について調査を行った。

5. 実験結果

5.1 初期電解ドレッシング特性
図3に初期電解ドレッシング時の実電流値と実電圧値の変化を示す。電極面積は砥石面積の1/8とし,初期電解ドレッシング条件は,最大電流10A,無負荷電圧90V,パルス給電・休止時間 : 2μs,砥石回転数100rpmとした。電解を開始すると実電流値が非線形に減少し,以後一定値となるELID特有の傾向を示した。砥石面は銀白色から褐色に変化し,砥石面上にボンド材の被膜が生成されたことを確認できた。

図3 初期電解ドレッシング特性

図3 初期電解ドレッシング特性

5.2 加工条件と加工特性
初期電解ドレッシング特性を把握した後,加工条件 (砥石回転数,加工圧力) が加工面粗さに及ぼす影響について調査を行った。ワ−クはSiCとサ−メットを使用した。実験結果を図4,図5に示す。
砥石回転数の影響は,回転数が高くなるに伴い加工面粗さが悪化する傾向を示し,特に100rpmを超えるとその傾向が顕著となった。これは,除去機構および加工形態による影響と考えられが,詳細については今後検討を進める予定である。本システムにおいて砥石回転数50〜100rpmで安定した加工が実現できることを確認した。また加工圧力は,圧力が高くなるに伴い加工面粗さが向上する傾向を示した。この要因は,加工圧力が高いほど砥石とワ−クの干渉による砥石面や砥粒先端の平滑化が促進され易くなるため,その結果として加工面粗さが向上するものと考えられる。本加工システムの場合,100kPa以上の加工圧力で良好な加工結果が得られた。

図4 砥石回転数と加工面粗さの関係

図4 砥石回転数と加工面粗さの関係

図5 加工圧力と加工面粗さの関係

図5 加工圧力と加工面粗さの関係

6. 硬脆材料の鏡面加工結果
本加工機を用いて数種の硬脆材料を加工した結果を表1に,加工サンプルの例を図6に示す。加工結果より鏡面加工を実現できることを確認した。

材料  加工面粗さ  
WC4.0nmRa,
28.5nmRy
SiC3.6nmRa,
35.0nmRy
BK-75.7nmRa,
40.5nmRy
サーメット  3.0nmRa,
25.5nmRy



図6 加工サンプル

図6 加工サンプル

7. 結言
硬脆材料の効率的な高品位加工面の創成を目的として,"ラップトップ"の開発し,基礎的な加工特性を把握した。今後,詳細な検討を進め完成度を高めて行く予定である。

参考文献
1)伊藤伸英,大森 整,河西敏雄,土肥俊郎,上竹主税,矢野洋夫;卓上ELIDマイクロラップ研削盤の開発,ABTEC'99,pp251-252 (1999)



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